LEADER's VOICE
ハルメクグループのひとつ全国通販（現：ハルメク・アルファ）は2020年、創立50周年を迎えたのを期に新しいスタートを切りました。カタログ名を「ことせ」に一新し、60歳以上の女性に向けたファッション、雑貨・インテリア、グルメ、美容の４つのジャンルの商品を扱っています。一時は激しい企業間競争を繰り広げたカタログ通販ですが、現在は苦境に立たされている企業も多く、全国通販（現：ハルメク・アルファ）も例外ではありませんでした。全国通販（現：ハルメク・アルファ）が今後もカタログ通販事業を続けていくためにやらなければいけなかったのは、経営の立て直し。まずは黒字化すること——これが取締役社長に就任した時の最初のミッションでした。
通販事業の収益構造はとてもシンプルで、売り上げは登録者数、つまりリピート購入を前提として会員登録したお客様の数に左右されます。つまり、会員数を維持・向上させることが事業の維持・発展につながるというわけです。必要なのは、既存のお客様をいかに減らさないかと、新規のお客様をいかに増やすかの２点。新規のお客様を獲得するためには広告宣伝費などの費用がかかりますが、その費用を既存のお客様からの販売収益で賄うことができれば、事業は成長します。就任後１年で黒字化は達成済みですが、この基本構造をもとに健全な経営体制を構築し事業を伸ばしていくことがこれからの重要なミッション。すでに私の中では売上高1.5～3倍くらいまで成長させる見通しはついています。
まさに今、大転換の真っただ中にある全国通販（現：ハルメク・アルファ）。仕事の内容もやり方も、日々どんどん見直しが入ります。まるでジェットコースターに乗っているように、見える景色がスピーディーに変わっていきますが、こうした体験は誰もができるわけではありません。経営基盤がしっかりしている名の通った大企業で働くのは安心で快適かもしれませんが、自分の手で会社を変えていくのは、また堪らない楽しさがあるものです。
現在働いている社員のなかには、ここでの経験をもとに将来自分で事業を興す人が出てくるかもしれません。ビジネスを立て直す瞬間に立ち会う経験は、それだけの力につながるということです。PDCAを回してプロジェクトを洗練させていくのはビジネスの基本。しかし、売上規模を2倍3倍にしようとするなら、思い切ってまったく新しいやり方に挑戦する必要があります。そうしたことを会社一丸となって取り組む環境を、ぜひ自分の成長のためにも生かしてほしいと思います。
カタログ「ことせ」として通販事業をリニューアルする際、最初に手を付けたのはファッションでした。毎シーズン流行が変わり お客様の購買意欲が高いジャンルであるため、短期的に結果が出やすいからです。掲載商品の見直しを図るのはもちろん、PB（プライベートブランド）の開発にも取り組み、見直しを始めて半年ほどで粗利率が大幅に改善しました。現在は雑貨・インテリアとグルメに取り組んでいますが、ポイントは新規商品の掲載率を上げることと、“ライフスタイル提案”です。定番商品は一定の需要は見込めるものの、それが多すぎるとカタログの鮮度が落ちてしまいます。また、商品のスペックの優劣は一部のコアな読者にしか刺さりません。新商品をなるべく多く掲載し、その商品を買うことでお客様の生活がどうなるかを魅せる誌面にすることで、買い物の楽しみを喚起するよう心がけています。
さらにもうひとつ昨年から取り組み始めたのが、購入履歴の再分析です。手間がかかる作業ではありますが、カタログ配布の最適化やそれによる粗利率アップにもつながるので、今後力をいれていきたいと思っています。
カタログ通販の見直しは着々と進みつつありますが、次に取り組みたいのがEC事業です。実は私が自信をもって全国通販（現：ハルメク・アルファ）の成長を断言する理由のひとつが、このEC事業。全国通販（現：ハルメク・アルファ）はこれまでほとんどEC事業に注力していなかったため、ECでの売上比率がとても低いのです。ネット全盛の時代に、これはとてもめずらしいこと。つまり、“普通に”しっかりとしたECを構築すれば、新規のお客様を獲得できる強いチャネルとして機能してくれることは間違いありません。伸びしろがありすぎるにもほどがあるというわけです（笑）。
ただし、現在カタログ通販で買い物を楽しんでくださっているお客様をECに誘導するつもりはありません。拡大を続けるEC市場において価格競争に巻き込まれることは、私たちにとってもお客様にとってもマイナスが大きいと思うからです。60歳以上の女性のお客様が「こんなものが欲しかった！」「買ってよかった」と思ってもらえる商品を揃え、カタログでもECでも使いやすいほうで買い物をしてもらえる。そんな体制をめざしています。
※この情報は2021年10月現在のものです
人生において、働いている時間はとても大きな割合を占めています。だから仕事をしている時間が楽しければ、きっと人生は楽しくなります。楽しく働く人たちがたくさんいる職場なら、さらに楽しいと感じる瞬間が増えるでしょう。ただしそれは、気の合う仲間でワイワイやるということではありません。働くことを、一生懸命楽しむ。明るく元気に、それでいてクレバーに。熱い思いを持っているけれども、暑苦しくなく（笑）スマートに。そんな人たちと一緒に働きたいと思っています。
