プレスリリース

【防災に関する意識・実態調査2024】 60代~70代は防災意識が最も高いことが判明! 備蓄品の見直しを行っている50代以上の8割超が「年に1回以上」実施

株式会社ハルメク・エイジマーケティング

女性誌販売部数No.1(※1)雑誌「ハルメク」などのマーケティングやリサーチのコンサルティングを通じて、50代以上のインサイトを日々探求する、ハルメク 生きかた上手研究所は、20~79歳の女性900名を対象に「防災に関する意識・実態調査」をWEBアンケートにて実施しました。
(※1)日本ABC協会発行社レポート(2023年7月~12月)

【 調査結果のポイント 】

■    2021年結果と比較すると、防災意識の高さに関する自己評価の「どちらとも言えない」割合が増加
■    防災の備えは2021年と比べて全体的には低下傾向にあるが、水、食料の備蓄割合は増加
■    AEDの内容認知率は50代以上で高い一方、使い方の認知率は30代以下に比べて低い

【調査背景】
ハルメク 生きかた上手研究所は、シニアのインサイトについて調査・分析を行っています。
9月1日は「防災の日」。「広く国民が台風高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備する」ことを目的として制定されました。
(出典:https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi/db/cabinet/s34_38/bib01341)
シニア女性は災害・防災に対しどのような意識を持ち、備えをしているのでしょうか。これらを把握すべく、20代から70代女性の防災に関する意識、実態などについて調査を実施しました。
 
【調査概要】
調査方法:WEBアンケート
調査対象・有効回答者数:調査会社モニターによる20~79歳の女性・900名
調査実施日:2024年7月5日(金)~7月8日(月) 
※前回調査:2021年2月5日(金)~2月6日(土)
調査主体:株式会社ハルメク・エイジマーケティング ハルメク 生きかた上手研究所
※調査結果のパーセンテージは、小数点以下第2位を四捨五入したため、総数と内訳の合計が一致しないことがあります。
※本リリース内容を掲載いただく際は、出典「ハルメク 生きかた上手研究所調べ」と明記をお願いいたします。
※調査主体の「ハルメク 生きかた上手研究所」所長への取材、コメント提供も可能です。

2021年結果と比較すると、防災意識の高さに関する自己評価の「どちらとも言えない」割合が増加

・  防災意識の度合いについて「高い方 計(「高い方だと思う」+「やや高い方だと思う」)」の割合は17.1%。前回調査と比べて約3ポイント低下している。「低い方 計(やや低い方だと思う+低いほうだと思う)」の割合は35.7%。こちらも前回と比べて約4ポイント低下。
・  他方「どちらとも言えない」は47.2%と、前回と比べて約7ポイント上昇。
・  年代別では60代で「どちらとも言えない」割合が約11ポイント増加。
・  防災意識が「高い方 計」割合は60代、70代で高い 。


■防災意識が「どちらとも言えない」回答理由(自由記述抜粋)

防災意識が「どちらとも言えない」60~79 歳の女性:145名

非常食等は買ってあるが、十分かわからない(63歳 青森県青森市)
災害が起こるたびに思うが 完全に防災の準備ができない(73歳 愛知県半田市)
ローリングストック、緊急時に持ち出し袋を準備しているが、基準が分からない
(74歳 東京都23区)
防災アプリなどで情報を取得しようとしているが、備蓄は充分とはいえない(76歳 福岡県福岡市)

防災の備えは2021年と比べて全体的には低下傾向にあるが、水、食料の備蓄割合は増加

・  防災の備えを項目別に見てみると、2021年と比較して低下しているものが多い。
・  他方で、「水」「レトルト食品」といった食料の備蓄割合は約4ポイント上昇。
そのほか「携帯トイレ・簡易トイレ」も約5ポイント上昇している。
・  「乾電池やバッテリー(充電器)」「連絡用の通信機器」といった、デジタルまわりの防災グッズの備えは60-70代で高い。
・  備蓄品の見直しを行っている人の見直し頻度は、2021年よりも増えており、「年に1回以上」が全体で約14ポイント増。50代以上は85%前後が「年に1回以上」行っている。
・  「自分の住む自治体が提供している防災アプリ」の認知利用は40代以下と比べ50代以上で高い。

■備蓄品の見直し内容(自由記述抜粋)

年1回以上見直している50~79 歳の女性:163名

家族の誕生日に確認すると決めている(50歳 埼玉県所沢市)
カップ麺が安いときに購入して古い賞味期限のものから食べている(51歳 愛媛県松山市)
缶詰や乾物の貯蔵を増やし、眼鏡を枕元に置き、スマホもフル充電している。高さのある家具を置かない(56歳 大阪府大阪市)
9月1日に見直しをして消費期限の近いものは日常的に消費して補充する(60歳 東京都23区)
コロナ感染で外出できなくなる場合と、大地震の場合とを踏まえて、乾麺やレトルト、缶詰、パックご飯は切らさないようにしています。トイレ用の水を2リットルペットボトルに6本程度は用意しています(64歳 宮城県仙台市)
備蓄用品は時々見直している。能登地震はそのきっかけになった(65歳 愛知県瀬戸市)
備蓄の食料品、乾電池などは、消費期限近くのものから使用し、常に新しいものと入れ替えておく(70歳 東京都武蔵野市)
年に2回備蓄品の点検を行う(73歳 東京都23区)

AEDの内容認知率は50代以上で高い一方、使い方の認知率は30代以下に比べて低い

・  AEDを「どのようなものかは知っている」割合は50代以上で高い。
・  「自宅の周辺にあるAEDの場所を知っている」割合も50代以上で高い。
・   他方、「AEDの使い方を知っている」割合は、20代30代に比べて、50代以上は低くなっている。

【専門家の見解】
ハルメク 生きかた上手研究所 所長 梅津 順江(うめづ ゆきえ)
2016年3月から現職。主に年間約900人のシニアを対象にインタビューや取材、ワークショップを実施

60-70代の災害への備え。完全でなくても知恵や工夫がある

2024年は元日から、能登半島地震がありました。直近も大雨による土砂災害、南海トラフ「巨大地震注意」呼びかけなど、相次いでいます。「度重なる災害で、防災意識は高まっているのではないか」と予測しましたが、外れました。2021年時と比べ、防災意識が「高い方 計」の割合は全体で約3ポイント減、60代は6ポイント減、70代は約3ポイント減。防災行政上、避難弱者に位置づけられているシニア女性の防災意識は低下しました。災害そのものに慣れ、危機意識が薄れつつあるのでしょうか。じっくり読み解くと、そんな単純なことでもないようです。「防災意識が低い」と回答した比率は変わらず、「どちらとも言えない」割合が増えました。この中立回答者も不安や関心はあるし、最低限の備えをしていることが分かりました。「水や食料」「トイレ」などの“レフィル防災グッズ”の備蓄割合は上昇。また、60-70代の3-4割が「乾電池やバッテリー(充電器)」「連絡用の通信機器」といった“デジタル防災グッズ”も備えています。では、なぜ?自由記述から「万全ではない」「まだ不足している」というやり残し感覚が「どちらとも言えない」につながっていることが分かりました。「基準が分からない」と正解を探す回答や「準備しても何が起こるか分からない」と不確実な未来を憂うる様子もみられました。「備えや対策」よりも「不安や変動」が上回るため「どちらとも言えない」を選択したというわけです。昨今の災害は予測を超えてきますし、対策してもやりきれない心持ちになるのは当然です。
さて、備蓄品を見直している60-70代の8割以上が「年1回以上」行っていました。点検日を決めて習慣化したり、賞味・消費期限の早いものを先出しておいたりなど、備蓄品の見直しに関する生活上の知恵や工夫がみられました。近頃の想定外の災害に対する備え。人生のベテランである先輩たちに学ぶことはありそうです。

ニュース一覧