女性誌販売部数No.1(※1)雑誌「ハルメク」などのマーケティングやリサーチのコンサルティングを通じて、50代以上のインサイトを日々探求する「ハルメク 生きかた上手研究所」は、50歳以上の女性(事前調査434名、本調査565名)へのアンケート結果をもとにした「50歳からのハルメク世代に聞く なんでもランキング」を公開しました。テーマは「お札の肖像になってほしい人物は?」です。
(※1)日本ABC協会発行社レポート(2023年7月~12月)
【調査概要】
事前調査と本調査に分けて調査を実施。事前調査では「お札の肖像になってほしい人物」を1名あたり3名まで自由記述で聴取し、回答が多かった22の人物を選抜した。本調査では22の人物についてそれぞれ7段階で評価を得た。
調査の方法:WEBアンケート
調査の対象:全国50~87歳の女性
調査実施日:事前調査 2024年5月24日(金)~5月27日(月)
本調査 2024年6月11日(火)~6月14日(金)
回答者数 :事前調査 434名 本調査 565名
※本調査は50代、60代、70代以上が均等になるよう再集計した。
本文中の回答者数は再集計後の人数。
調査主体 :株式会社ハルメク・エイジマーケティング ハルメク 生きかた上手研究所
【集計方法】
各人物の評価(7段階)に応じて配点し、ランキングを算出した。
[質問] 次の人物について、どの程度「今後紙幣に載ってほしい」と思いますか。
[配点] とてもそう思う:100点、そう思う:85点、まあそう思う:65点、どちらともいえない:50点、あまりそう思わない:35点、そう思わない:15点、全くそう思わない:0点
なお、当該人物を「知らない」と回答した方は集計から除外している。
※調査主体の「ハルメク 生きかた上手研究所」所長への取材、コメント提供も可能です。
※本リリース内容を掲載いただく際は、出典「ハルメク 生きかた上手研究所調べ」と明記をお願いいたします。
【 調査サマリ 】
1位 福澤諭吉
理由1位は「先駆者・道を切り拓いた」。3位は「有名・誰もが知っている」、5位には「親しみがある」が入った。1984年に1万円の肖像に起用されてから約40年と長く、慣れや継続を望む声が挙がった。
2位 聖徳太子
理由1位は「有名・誰もが知っている」。3位には「カリスマ性がある」が入った。60代で1位、70代で2位だった。これまで最も多く紙幣の肖像に採用されており、1958年から1986年まで1万円札の肖像であったため、「お札と言えば聖徳太子」という声も見られた。
3位 杉原千畝
理由1位は「社会の平和のために貢献した」。4位には「海外にもアピールできる・世界的に認められている」が入った。第二次世界大戦中のユダヤ人へのビザ発給に関し、国際的に誇れる日本人として上位に入った。
お札の肖像になってほしい理由(ランキングTOP3の理由5位まで)
お札の肖像になってほしい人物ランキング(50歳以上女性:565名)
※7段階評価の配点(ウェイト平均)によるランキング。なお、小数点第2位以下含めてランキングしている。
お札の肖像になってほしい理由(事前調査の自由回答を抜粋)
1位 福澤諭吉
- 日本の近代教育の基礎を築いた人(55歳)
- 今のままでいい。紙幣をそんなに変えてほしくない(65歳)
- 慣れているし、彼の生き方に共感できる(76歳)
2位 聖徳太子
- やっぱりこの人の一万円札は本当に高価な感じがあったし、すごく高いお金なんだと子供心にも思っていたので。無駄遣いが減るかも(55歳)
- 日本の礎を作った人だから。再びの登場を(70歳)
- 紙幣と言えば聖徳太子!と刷り込まれている(78歳)
3位 杉原千畝
- 国の許可なく発行したビザでしたが、この世界で何よりも尊い命を救う勇気ある決断でした(63歳)
- 人の命を第一に考えて行動した勇気と判断力のある人(68歳)
- 日本のシンドラーと言われており人道的な仕事をした(71歳)※7段階評価の配点によるランキング
新紙幣発行について思うこと(本調査の自由回答を抜粋)
人物についての感想
- 熊本県人なので北里柴三郎さんが紙幣に載るのは嬉しく、改めて業績を知る良い機会になった(60歳)
- 津田梅子さんは女性として海外留学を経験、女子の大学を作るなど地位向上に尽くされた。男尊女卑の時代に負けず意思を貫き、今の時代に即した先人として早く持ちたい(66歳)
- 渋沢さんの功績を考えると、使うのが楽しみ。人選のバランスがいいように思う(63歳)
- 科学者や女性がもう少し登場しても良い気がする(66歳)
楽しみ・日本の技術が誇り
- 新しもの好きなので、どんなデザインなのか楽しみ(63歳)
- 偽造を防ぐための世界初の最新の技術が導入され、とても優れた紙幣で、目が不自由な方も識別でき全ての人に使いやすいように改良されていることに感動(67歳)
- 額面部分に施されているホログラムを早く見てみたい。タンス貯金を炙り出したいという政府の狙い通りになるのかも注目(71歳)
キャッシュレス時代の発行に疑問
- 今後、キャッシュレスが進み、あまり現金を使わないので、冷めた感覚で受け止めている(65歳)
- キャッシュレスが進んでいるのに莫大な費用をかけて新札を発行する必要があるのかと思う。新札に伴い券売機にかかる費用に悲鳴をあげている業者が多いと聞くし、複雑な心境(75歳)
その他
- 国民にアンケートして人物を決めて欲しいと思う。国民そっちのけで政治家だけで走り過ぎ(52歳)
- 紙幣に人物の画は必要ないと思う。日本文化や風景などの画が良いと思う(63歳)
- 新紙幣に変わるのが早い。70代の私は何回も変化を経験した(77歳)
※自由回答において、新紙幣発行に関して「何も思わない」「関心がない」などの内容は565名中198名(35%)だった。
【専門家の見解】
ハルメク 生きかた上手研究所 所長 梅津 順江(うめづ ゆきえ)
2016年3月から現職。主に年間約900人のシニアを対象にインタビューや取材、ワークショップを実施
「世界に誇れる」が、紙幣の価値が弱まる令和時代に選ばれる基準
50代以上の女性が選ぶ「お札の肖像になってほしい人物(※以下、敬称略)」は、1位福澤諭吉、2位聖徳太子でした。偉業に畏敬の念を示す他、「慣れ親しんでいる」「(小さい頃から)刷り込まれている」という自由記述も目立ちます。1万円札から威厳・重み・ありがたみを感じてきたり、長くにわたり朋友のような関係を築いてきたり、昭和・平成時代のお札の歴史を垣間見ることができました。3位以下を見てみましょう。「杉原千畝」「湯川秀樹」「緒方貞子」「紫式部」など世界レベルで認知&活躍された方が選ばれました。「手塚治虫」「山中伸弥」「大谷翔平」も20位内に入りました。ランク外ですが、「世界に誇れる」という理由で「葛飾北斎」「宮崎駿」「坂本龍一」「小澤征爾」「中村哲」も挙がっています。令和時代の紙幣に相応しいのは、グローバルで通用する日本人ということなのでしょう。
さて、7月から新紙幣がスタートします。新紙幣発行に関しては、賛否ありました。「偽装防止技術が誇らしい」「楽しみ」という肯定的な見解がある一方で、「関心ない」「混乱する」「面倒」「税金の無駄遣い」「おもちゃみたい」「キャッシュレス時代に逆行している」「自動販売機を使う店が気の毒」「華がない」など否定的な意見も少なくありません。気がかりだったのは、無関心層の多さです。当該女性の3人に1人(198/565人)が、「思うことは何もない」「どうでもいい」「興味がない」「忘れていた」など新紙幣に無関心でした。現金払いが減り、電子決済に移行している令和時代は紙幣に対する存在価値そのものが弱まっているのかもしれません。
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