ハルイロ(ブログ)

16年続く、体操の連載。人気の理由と、『ハルメク』が支持される理由の共通点とは。

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雑誌不況が叫ばれて久しい中、女性誌販売部数No.1※雑誌として多くの読者に支持をいただいている『ハルメク』ですが、そのなかに連載16年目となる人気企画があることをご存知でしょうか。その連載は、なんと体操を紹介するページ。いろいろな連載がある中で、なぜこのページだけが長く続いているのか。そこには、雑誌『ハルメク』の人気の秘密にもつながる理由がありました。
※日本ABC協会発行社レポート(2022年1月~6月)

写真左から、初代編集担当の文乃さん、菊池和子さん、現編集担当の桂介さん。2022年11月30日「きくち体操講演会」ステージ裏にて。

講演会には1000人が集まる。連載16年の「きくち体操」。

「両足の指を思いっきり開いて! みなさんはその足で生きているんですよ」と、よく通る声と強い身振りでレクチャーをする菊池和子さん。2022年11月30日、3年ぶりに開催されたリアルイベント「きくち体操講演会」では、会場の約500人、そして全国からオンライン参加が500人強、合計1000人以上の参加者が、熱心に菊池さんの言葉に耳を傾けていました。

当日の会場の様子。

 真っすぐな立ち姿で、台本無し2時間の講演を行う菊池さんは、御年88歳(2022年11月30日時点)。講演は椅子の座り方から始まり、筋肉と骨の仕組み、脳と体のつながりなどが話され、参加者も背すじを正したり、足の指を広げたりと、大忙し。
 「だらんと座っている人は、人生も人任せなんですよ」「最期まで、この体を使い切って人生を終わりたい。そのための体操です」。菊池さんの話が深まるにつれ、みなさん顔が真剣になっていきます。それは菊池さんが教えるのが単なる体操の仕方ではなく、体を通して生き方に向き合うことだからです。

編集者の勘が働いた「これはただの体操じゃない!」

菊池さんを見つけ出した(?)初代担当の文乃さん。

 ハルメクで連載を始めて16年、今も人気は衰えていないと初代担当の文乃さんは言います。「愛読者ハガキでは必ずよかった記事に選ばれていますし、新聞広告でも反応が高いんです」。そんな連載の内容は、毎回、編集と菊池さんとのあうんの呼吸で決まるそう。「私たちが最近のハルメクの読者のみなさんの生活などを話すと、菊池先生が読者に今何が必要か、伝えるべきかが思い浮かんでいく感じです」とは、現在の連載担当の桂介さん。

現担当の桂介さんが、毎月菊池さんの教室に通い、その号の内容をつめていきます。

菊池さんとの出会いは、すごい体操の先生がいると文乃さんが小耳に挟み、教室に参加してみたことからでした。編集者の嗅覚で普通の体操以上のものを感じた文乃さんは、すぐ菊池さんの誌面企画を提案します。「これは読者のみなさんに絶対に紹介したい! イベントにしなきゃと思い、イベントも提案。すぐ300人以上の参加者があったんです」

16年間、1回もマンネリがないのは、そこに普遍的な人生哲学があるから。

それから16年以上。長期の連載ですが、担当の二人はマンネリを感じたことはないそう。「何回聞いても、毎回新しい発見があるんですよ。それは、そのときの自分の状況や必要としているもの次第で、刺さってくる場所が違うからだと思います」と桂介さん。一般的に体操で求められるのは、痩せ方や筋肉のつけ方。でも、菊池先生の体操はそこが重要なのではありません。
「最終的には“自分の命をまっとうさせる”こと。そのための体作りなんです」(菊池さん)。不調改善のための新しい体操を紹介しながら、そこに菊池さんの人生メッセージをいかに込めていくかが、編集者の腕の見せ所です。

想いが込められた「きくち体操」のページ。

「先生のお話しを聞いて、実際に体を動かすと、自分の意識や体が変わるんです。その感動を誌面で伝えたくて、それをずっと試行錯誤しながらやってきた感じです」と文乃さん。

表面的なニーズではない、その先の読者が本当に求めているものを探す。

「桂介さんや文乃さんは、本当に頼りになる、仲間のような存在」と菊池さん。厚い信頼で結ばれています。

単に体操をなぞるのではなく、その後ろにある菊池さんの哲学を伝える努力をする。それは表面的なニーズを伝えることをよしとせず、その一歩先、読者が本当に求めるものをあらゆる角度から追求する雑誌『ハルメク』の姿勢であり、ひいては、「50代からの女性がよりよく生きること」に真摯に向き合う、ハルメクの経営理念そのものです。
講演会の最後、菊池さんに読者に伝えたいことはありますか、という問いに菊池さんはこう答えてくれました。「本当の意味で、自分の体を大切にしてほしいです。自分をしっかり活かして、きちんと終わる。体操を通して、それができる精神力を育て、積み重ねてください」
『ハルメク』の長寿人気連載の秘密は、体操のその先に読者の求めている生き方への哲学があり、それを表現しようと奮闘する編集者の姿勢があったから。
2022年にスタートしたWEBサイト「ハルメク365」では、きくち体操を動画で見ることができます。「誌面では表現しきれない先生の息遣いを、動画ではしっかり感じられます」と文乃さん。
興味のある方は、こちらからぜひご覧ください。
ハルメク365 オリジナル動画 きくち体操「呼吸筋を育てる動き」
https://movie.halmek.co.jp/set/320/contents/72

取材・文/聡子 写真/貴嗣(ともにハルイロ編集部) きくち体操講演会写真/中西裕人

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