【MVP特集】誰もが損をしない解決策を。ハルメクの発行ラインを支える男のビジネス哲学とは?
今回のハルイロはMVP特集第2弾。ハルメクグループでは、半年に1回著しい貢献をした社員や、未来につながるアクションを行った社員を表彰する制度があります。今回は2021年下期にMVPを獲得した山口さんにインタビュー。
2021年11月、原材料費の高騰や物流コスト増を理由に製紙メーカー各社が一斉に用紙の値上げを発表。雑誌やカタログ通販などを提供するハルメクグループにとっても大きな経営課題に直面します。しかし、そのピンチをチャンスととらえ、適正なコスト配分の見直しにつなげた株式会社ハルメク・ビジネスソリューションズの山口さんに、取引先とビジネスをする際に大切にしていることを伺いました。
株式会社ハルメク・ビジネスソリューションズ
媒体管理室 兼 サービス管理室 山口さん
プロフィール:
大卒後食品メーカーに勤務。その後ファイナンス、テレビ通販などで主に経営企画に携わり、テレビ通販では物流センターの立ち上げや海外事業部の責任者も経験。2019年に株式会社ハルメク・ビジネスソリューションズに入社。現在ではハルメクや全国通販のカタログ誌などの発行に携わる。
ハルメクグループを影で支える縁の下の力持ち
雑誌「ハルメク」を作るにはコンテンツ制作のほかに欠かせないものがあります。それが紙という素材であったり、印刷、製本といった業務です。工夫をこらしたコンテンツも、紙に印刷されて雑誌のカタチになることで初めて、読者のみなさまの手に取ってもらえるものになります。そうした、ページを刷る紙を調達したり印刷工場とスケジュールや価格の交渉をしたりといった“縁の下の力持ち”的な役割を担っているのも、ハルメク・ビジネスソリューションズです。
コンテンツ制作のような華やかさはないものの、実は雑誌づくりからお客様へ届けるまでのコストの7~8割は紙代や印刷費、発送費です。購読者数38.5万人のハルメクでは年間数億円に上り、このコスト部分をいかに上手に目配りするかが、グループ全体の経営にとっては重要です。
今回のMVP受賞の背景。きっかけは数年に一度の大ピンチだった
今回、MVPをいただいた背景には、大きなピンチがありました。2021年11月以降、製紙メーカー各社が揃って一律15%以上の紙の値上げを発表しました。理由は、原燃料価格や物流コストの上昇、環境対策費用の負担の増加などです。なかでもボイラーの燃料として使う石炭の価格高騰が一番の痛手ということでした。ティッシュやトイレットペーパーのような家庭向けの紙製品から、帳票・伝票などのフォーム用紙、チラシやカタログ通販誌などを刷るための商業印刷用紙、単行本などの出版用紙まで軒並み値上げということだったので、製紙会社としてもやむにやまれぬ事情があったのだと思います。
とはいえ、要求をそのまま承諾してしまうと、こちらのコストの増加分が大きなものになってしまいます。そこで、これまで使用していた紙の銘柄見直しや共通化、調達方式の変更、取引先(製紙メーカー、紙代理店、印刷会社)の見直しと再配置、印刷の仕様変更などあらゆる方法を検討し、なんとかコストを適正な範囲内で抑えたいと考えました。インクののりが良く、写真の発色がきれいで、なおかつ裏写りのしにくい紙…もちろん、手にとったときの質感やページのめくりやすさなども大切です。読者が「ハルメク」を読む楽しさを減らすわけにはいかないため、コストのほかにもクリアしなければいけない条件はいくつもありました。協力会社との話し合いを何度も重ね、ハルメク編集部の了承も得ながら、さまざまな変更可能点を洗い出していきました。
誰もが損をしない状態をめざした結果、コストの適正化に成功
ハルメクでは紙の調達や印刷をお願いしている協力会社が複数ありますが、あえて“とにかく安くできるところ”に取引を一本化することはしませんでした。それをやってしまうと一時的には大きくコストを下げられるかもしれませんが、一度取引を止めてしまうと、今後何かあったときに取引を復活させるのは難しいでしょう。かといって、一方的にこちらの論理を押し付けて値下げを迫っても、生産的ではなく、しこりも残ります。そこで、それぞれの企業への依頼条件を見直したり、こちらで譲歩できる点を編集部と協議して協力企業が社内含め交渉しやすい環境になるよう工夫するなど、どのパートナーやメーカーも損がでないように工夫しました。
ハルイロは「今」と「未来」を伝えるメディアです。今後ハルメクでやりたいことは何ですか?
商売の基本は「三方よし」。これは私がこれまでにさまざまな仕事を経験するなかで実感するようになったことです。ハルメク・ビジネスソリューションズに入社するまで、国内外のさまざまな企業との契約・取引や、幅広い業種で経営に関わる機会がありましたが、どんなビジネスにおいても、一方が得をするだけの関係は長く続きません。反対に両者にとってメリットのある関係性を心がけると信頼関係が生まれ、目に見えないいろいろなコストや手間が最小化され、それがひいては長期的な利益につながっていくものです。
今回は思わぬピンチが後押しとなって、ハルメクと全国通販の業務固定の一部を共通化することができましたが、ほかにも統合して効率化できることはたくさんあると思います。例えば物流センターの統合・見直しや、基幹システムの共通化、諸制度の統一化など。チャンスはあちこちにあります。コスト削減は価格交渉だけではなく、現状認識を十分したうえで適正であれば既存のやり方にとらわれずに変える、スキームを構造的に変えることによってコストの最適化を実現することが重要です。変えることはとても労力のかかることですが...またいろいろ知恵を絞っていきたいですね。
インタビュアーの感想:
インタビューを終えて、ハルイロ編集長は思った。
商売の基本は「三方よし」。山口さんは大切にしてきたと語った。そんな思いがあるからこそ、取引先との関係性を崩すことなく、会社のピンチをチャンスに変え、さまざまな課題を解決して難局を乗り越えることができたのだろう。MVPに相応しい取り組みだったと改めて納得した。。。
いかがでしたでしょうか。まだまだ知恵を絞ることがたくさんあるハルメクグループで、こんな人達と一緒に働いてみたいなと思った方は、採用サイトもぜひご覧になってみてください。
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