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【チャレンジ賞特集】雑誌「ハルメク」の急拡大でコールセンターが逼迫。将来の躍進のための土台も作ったコールセンターのチャレンジとは!?。

ハルメクグループの「今」と「未来」を伝えるオウンドメディア「ハルイロ」をご覧いただきありがとうございます。

ハルメクには半期に一度、会社に貢献した社員を表彰する「MVP賞」と「チャレンジ賞」があります。

MVP賞は「会社に対して著しい貢献をした、もしくは困難を乗り越えるために粉骨砕身努力した社員のリーダーシップ・実行力を称える」賞。チャレンジ賞は「従来の延長線上の取り組みにとどまらず、新しいチャレンジを行った、もしくは会社の未来につながるアクションを行った社員の意欲を称える」賞です。

今回は、2022年度上期にチャレンジ賞を受賞した、株式会社ハルメク・ビジネスソリューションズ お客様センターの茂夫さんを紹介します。

ハルメクグループの系列会社、株式会社ハルメク・ビジネスソリューションズは、ハルメクのフルフィルメントサービス(商品の受注から配送までの一連の業務)を担う会社です。そして、「お客様センター」はお客様の注文を受ける部署。お客様と直接接する、いわばハルメクの顔であり、とても重要なポジションです。

人と一緒に、AIやロボットが活躍するコールセンター

(編集部)今回、評価された点が「お客様センターへの入電集中が発生する中で音声認識の活用を強化するとともに、AI-OCRやRPAによるDXの推進に尽力した」とのことですが、これは簡単に言うとどういうことなのでしょうか。

(茂夫さん) お客様センターでの受電の自動化を促進させた、ということです。音声認識ロボットによる自動応答の対応範囲の拡大です。使用しているのは世の中でボイスボットと呼ばれているAIが組み込まれた自動音声応答ロボットです。導入自体はすでにされていたのですが、対応できるメニューが少なく、活用の範囲が少なかったのです。

例えば、「ハルメク」本誌の申し込みなど在庫切れを起こさない注文は大丈夫でも、通販商品などは在庫がないのに受注を受けてしまう可能性があるので、通販が忙しい時期でもAIによる自動受付の数を増やせなかったのです。

当社の在庫データと連動できる仕組みを入れて、在庫がない場合は「別の色をお選びください」、と案内する機能や、配送予定データと連携することで「お届けは4月15日頃になりますになります」と案内するなど、より自然な対応をボイスボットできるように改良しました。

自動音声の拡張で、ほかに加えた機能は、例えば、お客様の話すことを想定したデータベースを作っておいて、それとAIが解釈した文言を照合させて対応できるようにしました。そうすると「ジュースの定期を解約してください」と言われたら、データベースにジュースという名前がついている定期おトク便は人参ジュースだと判断して、「人参ジュースの解約でよろしいでしょうか」と復唱ができる。こうすることで単品の注文だけでなく解約受付などにも適応範囲が広がったので、AIだけで対応できる件数がだいぶ増えました。

ロボットやAIといっても、人型ロボットが働いているわけではなく、パソコンがひとりで動いています。

(編集部)すでに導入されていたけれど、使いこなしきれてはいなかった自動音声を、さらに進んだシステムにしたわけですね。他には、どんな改善をされたのですか。

(茂夫さん) 例えば、新たに導入したのが、RPAとAIOCR。ルーチンワークを自動化してくれるロボットや人間の手書き文字を読むことができるAIです。従来のシステムは人間が書く文字のクセを解釈できなかったのです。でも新たに導入したシステムではAIが入り、人間の書きクセを高い精度で読み取れるので、手書きの申込用紙などの自動化がさらにできるようになりました。

 また、何種類かのシステムを導入したことで、システム同士を「組み合わせる」ことができるようになりました。例えば、今まではボイスボットが受注を受けたデータを、後工程で人間がチェックして打ち込んでいたのですが、それが後工程はRPAのロボットで入力できるようになる。受電・お客さま対応の一連の流れを機械だけで行なえるようになったのです。

コールセンター逼迫でのトラブルを回避

(編集部)受注の自動化促進が必要になったのは、お客様の急激な増加に、人間のオペレーターだけでは追い付かない日が増えたからとお聞きしました。

(茂夫さん)前提として、ハルメク世代の方たちはネット受注よりもまだ電話やFAXなどコールセンターへの問い合わせを好まれる傾向があります。そうした中、近年雑誌ハルメクの部数が急拡大したこともあり、常にコールセンターの需給が圧迫している状況が続いていたんです。

(編集部)もし、これらのシステムが導入されていなかったら、どのように対応されていたと思いますか。

(茂夫さん)相当たくさんのオペレーターが必要になったと思います。年に2回行われるハルメク名物の大セール「感謝市」など受注が増加する期間は、おそらく今の設備では対応できないので、別のスペースを借りて臨時のコールセンターを作って対応するとか。

仕事中の茂夫さん。

(編集部)そこまでやるのですか。

(茂夫さん)コールセンターの請負会社などはよくやりますよ。短期間だけビルを借りて、その期間だけコールセンターにするんです。実際、そこまで踏み込まないと対応できなかったかもしれないですね。または、外注をものすごい増やすとか。ただ、そうした緊急対応をした場合、コストアップもすごかったと思います。それに、お客様にも不便をおかけすることになったかもしれません。

(編集部)日本のコールセンター界で、ハルメクの機械化はどのくらいのレベルなのでしょうか。

(茂夫さん)現状の日本ではハルメクはかなりいろいろなシステムを使って効率化していると思います。ボイスボッドであるとかAIが組み込まれたシステムが、こんなにたくさん入って大規模に自動的にお客様対応をしているのは、私が知っている限りあまりないです。

(編集部)機械の種類が、ですか?

(茂夫さん)種類もですし、受電件数や受けられるチャネル数・種類などもです。プッシュダイヤルやFAXなどの自動化ができている会社は多いけれど、ボイスボットやAIによる音声認識、チャットボットだけでなく、受け付けたデータの入力作業を行うRPAなどを含めAIが組み込まれているシステムやロボットが連携して行なっているのは少ないです。また、そのなかでも1日何百件とロボットがこなしている会社は少ないと思いますよ。

将来のさらなる課題への対応も見据えた投資

(編集部)茂夫さんは、前職はどのようなお仕事をされていたのでしょうか。

(茂夫さん)以前は、コールセンターの会社でセンター長をし、転職直前はコールセンターの事務処理の効率化やコンサルティングのような業務をしていました。ハルメクに転職したときは、ハルメクの鹿児島コールセンターのセンター長としての採用でした。今はコールセンターの効率化などを手掛ける推進室にいます。

(編集部)今回の機会導入の提案で大変だったことはありますか。

(茂夫さん)もともとなかったものを導入するので理解を得ることとか、実際作業する現場にどう浸透させていくか、などが難しかったですね。

(編集部)最終的に採用されたポイントはどこだったと思いますか。

(茂夫さん)ポイントは2つです。1つは、費用対効果。コストがどのくらい変わるのか。もう1つは、将来の拡張性です。これらのシステムはこれから知見を増やしていけば、さらに活用が広がります。どのくらいの許容幅、適応幅で、社内の業務時間のうちどのくらいが自動化になるのか、システム同士の組み合わせなど将来性を含めてプレゼンをしました。

前職でも、クライアント企業様に、どういう設計ならどこまでできてコストはこうなります、など提案してきたので、その時の経験は役にたちました。

ハルメクのフルフィルメントサービスを担う、ハルメク・ビジネスソリューションズ鹿児島の様子。

(編集部)今後の目標などを教えてください。

(茂夫さん)直近の目標は、SNSやLINEとの連動です。例えば、12ヶ月コースの『ハルメク』本誌の読者に11冊目の本誌を送る際に、「11か月目なので延長の手続きが必要です」とお客様の状況に応じた手紙でお伝えしたいけれど、これは「信書」扱いになるので入れられません。雑誌の発送とは別に手紙を発送するとコストが膨大になる。ですので、SNSやLINEでお知らせできる仕組みを進めています。

将来的には、もっと効率化してできる仕組みをいろいろ作っていきたいです。今回、さまざまな仕組みを導入したことで、将来のシステムの拡張への土台もできましたので、これから出てくるであろう問題に対しても効率化重視で対応したいです。

そして、お客さまにもっと便利に、より快適に使っていただけるようなハルメクにしていきたいですね。

いかがでしたでしょうか。受け身の仕事ではなく、自ら課題解決に動く姿勢。そしてその熱を受け止め、チャレンジする社風がハルメクにはあります。このインタビューを読んでハルメクグループで一緒に働いてみたいと思った方は、ぜひ採用サイトをご覧ください!


取材・文/聡子(ハルイロ編集部)

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